🏠 [週次レビュー] 融資は絞るのに、なぜソウルは上がり続けるのか — 地方の未分譲6.5万戸・7/16金融通貨委・7/23住宅大討論会(7/6〜7/12) + 来週の展望
今週(7月6日〜12日)の不動産市場のキーワードは「食い違い」でした。銀行が融資のハードルを急速に引き上げているのに、ソウルのマンション価格は上昇を続け、逆に地方では未分譲が6万戸を超えて積み上がりました。規制で資金を絞る側と、むしろ値が上がったり在庫が残ったりする側が、一つの国の中で同時に現れたわけです。今日はこの一週間を融資・供給・二極化の三つの軸で整理し、金利と政策が一度に重なる来週を見ていきます。🏠
要点(TL;DR)
- KB国民銀行が7月10日から住宅購入用住宅ローンの最大限度を6億→3億ウォンに半減、非規制地域まで一律適用し、銀行界への拡大の兆し
- 6・27規制でティディムドル・ボティムモクの政策ローン実行額が1年で37〜52%急減 — 住宅価格が政策ローンの限度を追い越し「ソウルの6億ウォン以下マンション」が事実上消滅
- 5月の全国未分譲6万5,239戸(地方が4万6,638戸・約71%)、「悪性」と呼ばれる竣工後未分譲は2万9,350戸で、ソウルの急騰と地方の在庫累積が併存
- 来週の注目点:7/14〜16の省庁別公開討論会(供給・金融・税制)、7/16の韓国銀行金融通貨委(2.50%→2.75%の利上げが有力)、7/23の大統領住宅大討論会、7月末〜8月初の税制改編案
🏦 今週最大の変数 — KBが放った「融資の引き締め」
今週の不動産市場を最も大きく揺らしたのは、住宅価格の指標ではなく銀行の窓口でした。KB国民銀行が7月10日から、住宅購入用の住宅担保ローンの最大限度を従来の6億ウォンから3億ウォンへ半分に減らしました。これまで限度がなかった非規制地域まで3億ウォンで一律適用した点が、とりわけ波紋を広げました。当局の規制(15億以下6億・15〜25億4億・25億超2億)よりも、銀行が自ら強い閂をかけた格好です。
背景には急増した家計債務があります。6月末の預金銀行の家計ローン残高は1,189兆4,000億ウォンで、1か月で7兆6,000億ウォン増え、家計ローンが急増した2024年8月以来、1年10か月ぶりに最も大きい増加幅を記録しました。首都圏の取引が増え、分譲の中途金・残金の需要が加わる中で、銀行界が先んじて速度調整に動いた格好です。KBの措置は「総量超過」ではなく予防的措置だというのが銀行側の説明ですが、実需要者に及ぶ衝撃は小さくありません。
問題は、この動きがKB一行にとどまらない点です。新韓銀行は今月に入って一週間でローン募集人を通じた新規受付の限度を使い切り、当該ローンを一時中断し、ハナ銀行も来月の実行分から募集人チャネルの住宅ローン受付を止めました。銀行界全体へ限度縮小が広がりうるとの見方が出る理由です。(詳しくはKB住宅ローン6億→3億に半減にまとめました。)
🪜 政策ローンも塞がれた — 「ソウルの6億以下マンション」が消えた理由
民間ローンだけを絞ったのではありません。庶民・実需要者のはしご役を担ってきた政策ローンも、今週やり玉に挙がりました。住宅価格が政策ローンで賄える線を超えたことで、その資金で買えるマンション自体がソウルでは事実上なくなった、というのが問題の核心です。
6・27融資規制でティディムドル・ボティムモクのローン限度が減った間に、KB基準で先月のソウルのマンション売買中央値価格は12億5,500万ウォンまで上がりました。ティディムドルローンが初めて登場した2014年当時、住宅価格の上限は6億ウォンでしたが、その間にソウルの売買中央値は4億7,400万ウォンから12億5,500万ウォンへ約3倍になりました。政策ローンが狙う「6億ウォン以下マンション」は、ソウルではほぼ姿を消しました。
数字でも縮小が鮮明です。HUG統計で2025年7月〜2026年5月のティディムドル実行額は15兆5,411億ウォンと、直前1年(24兆8,349億ウォン)より37.4%減り、ボティムモクは8兆7,343億ウォンで52.3%急減しました。実需要者が使える政策資金が1年で半減近くまで落ちたのです。(関連記事:ソウルの6億以下マンションの消滅)
🌗 ソウルは急騰、地方は未分譲6.5万 — 「一つ屋根の下の二つの市場」
今週の統計が示したもう一つの顔は地域の二極化です。ソウルと首都圏の人気地域は値が跳ね上がる一方、地方では売れ残った家が積み上がるという正反対の現象が同時に現れました。
国土交通部の5月住宅統計を見ると、全国の未分譲は6万5,239戸で、このうち地方が4万6,638戸(約71%)を占めました。とりわけ、建て終えても売れず「悪性」に分類される竣工後未分譲は2万9,350戸で、そのうち83.6%にあたる2万4,522戸が非首都圏に集中していました。釜山(8,292戸)や忠清南道(8,213戸)などに在庫が集まりました。
同じ時期、ソウルは正反対でした。融資を絞っても人気地域の需要が続き上昇基調が保たれ、前の週にはソウルのマンション売買取引量が4年ぶりに賃貸(チョンセ)取引量を上回る「チョンセを払うくらいなら買う」という流れまで現れました。資金は塞がれるのに買い手が集まるソウルと、値を下げても買いがつかない地方が、互いに反対方向へ分かれました。(関連記事:ソウル急騰・地方未分譲の二極化、売買が賃貸を上回ったソウル)
🧱 根本原因は「供給の崖」 — 入居は増えても年間では13年ぶり最低
融資を絞ってもソウルの価格が持ちこたえる背景には、結局のところ供給不足があります。今週確認された入居物量の統計が、その逆説をよく示しています。下半期の物量は上半期より増えるものの、年間ベースでは依然として過去最低水準に足りません。
2026年のソウルのマンション入居は、上半期6,145戸から下半期1万2,330戸へ約2倍に増えます。しかし年間で見ると1万8,475戸にとどまり、2025年(3万2,703戸)の56.5%水準と半減です。全国も18万3,124戸で1年前より22.5%減り、2013年以来13年ぶりに最も少ない水準です。着工の減少が2〜3年の時差を置いて入居につながるだけに、2027年以降の供給不足への懸念はいっそう強まる構図です。(関連記事:下半期の入居は2倍、それでも供給の崖)
需要を抑える規制と足りない供給が噛み合うと、規制の効果は人気地域で長続きせず、むしろ「しっかりした一軒」への集中を後押ししやすくなります。今週の市場が融資引き締めにも大きく崩れなかった背景には、こうした構造的な事情が横たわっています。
🔭 来週(7/13〜19)は何を見るべきか?
来週は金利と不動産政策が一度に重なる「政策スーパーウィーク」です。今週が市場指標の食い違いを確認した週だとすれば、来週からは政府と韓国銀行が方向を示し始めます。
まず、7月14日から16日まで省庁別の公開討論会が続きます。国土交通部(供給)・金融委員会(金融)・企画財政部(税制)がそれぞれ一日ずつ専門家と国民の意見を聞く場で、今月末に出る総合対策の下絵がここで見えてくる可能性が大きいです。
続いて7月16日(木)には韓国銀行の金融通貨委員会が開かれます。市場の専門家は基準金利を現行の年2.50%から2.75%へ0.25ポイント引き上げると見ており、一部の調査ではこの利上げを事実上全会一致と予想しています。6月の消費者物価が3.2%と目標(2%)を大きく上回ったうえ、成長基調の改善と高為替の負担が重なった結果です。金利が上がれば融資引き締めと相まって利子負担が大きくなるだけに、不動産需要にも小さくない変数です。
そして7月23日(木)には、李在明大統領が直接参加する不動産大討論会が予定されています。供給・金融・税制を包括する場で、先の省庁別討論会で集まった意見を総合し政策方向を見定めることになります。保有税・取引税など税制改編も議論の対象として挙げられています。税制改編案は法定日程上7月末〜8月初に用意されなければならず、大討論会の結果が最終案に反映される余地があります。
🧭 総評 — 引き締めと持ちこたえが対峙した週、政策が答える週
今週は不動産市場がいかに幾筋にも分かれているかをそのまま示しました。銀行は融資を絞り政策ローンまで縮んだのに、ソウルの人気地域は持ちこたえ、地方には未分譲が積み上がりました。需要を抑える規制と、それを下支えする供給不足が拮抗する局面だと整理できるでしょう。
来週は、その拮抗に政府と韓国銀行が方向を示す最初の週です。利上げ、省庁別討論会、大統領大討論会、そして今月末の税制改編案まで政策イベントが密に重なっており、7月中旬は下半期の不動産の流れを分ける転換点になる可能性が大きいです。とりわけ、税制・供給・金融の三筋の対策が互いにどう噛み合うのか、そして地域の二極化を実際に狭められるカードが出てくるのかを、落ち着いて見守る必要があります。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
出典
- KB国民銀行、住宅ローン限度6億→3億に「半減」…融資寒波は全銀行に拡大するか (News1)
- 国民銀の住宅ローン「3億」…銀行界の規制拡大の兆し (ヘラルド経済)
- 銀行界のローン限度縮小ドミノ…下半期の住宅ローン「端境期」 (ビズウォッチ)
- 価格上昇の不安に李大統領が動く…23日に不動産大討論会を主宰 (韓国日報)
- 李大統領、23日に「不動産政策大討論会」主宰…保有税・取引税の改編も議論 (ファイナンシャルニュース)
- 李大統領、23日に「不動産国民大討論会」開催…7月末8月初の税制改編案に反映 (ヘラルド経済)
- 金融通貨委アンケート:7月「全会一致」の利上げ予想…「次の利上げは10月」 (アジュ経済)
- マネーブリーフィング:利上げ秒読み…16日金融通貨委の「三つの注目点」 (イートゥデイ)