🏠 ソウルは急騰、地方は在庫6万5千戸 — 不動産「一つ屋根の下、二つの市場」なぜ?
同じ国の不動産なのに、方向は正反対です。ソウルのマンション価格は直近も週間の上昇幅を広げながら上がる一方、地方では建て終えても売れ残る「悪性在庫」が積み上がっています。韓国・国土交通部の5月住宅統計によると、全国の未分譲住宅は6万5,239戸で、このうち地方が4万6,638戸と約71%を占めます。今日は、この「一つ屋根の下、二つの市場」という構図がなぜ生まれ、政府がどんな手札を検討しているのかを整理します。🏠
要点(TL;DR)
- 📌 5月末の全国未分譲は6万5,239戸(前月6万5,179戸比+0.1%)、地方が4万6,638戸で大半を占める
- 📌 建て終えても売れ残る「竣工後未分譲」は2万9,350戸、うち非首都圏が2万4,522戸で83.6%
- 📌 ソウル・首都圏はむしろ買いが集まり、未分譲が増えつつ価格が上がる逆方向 → 地域二極化が深化
- 📌 政府は7月末の税制改編案に、地方の竣工後未分譲「1住宅特例」の1年延長などを盛り込む見通し
📊 いまの数字は — 全国未分譲6万5千、71%が地方
5月の未分譲の核心は「総量は横ばい、重心は地方」という点です。国土交通部の5月住宅統計によれば、5月末の全国未分譲住宅は6万5,239戸で、前月(6万5,179戸)より0.1%増と、事実上の横ばいでした。
- 地方 vs 首都圏: 地方の未分譲は4万6,638戸と前月より2.6%減ったものの、依然として全国の約71%を占めます。逆に首都圏の未分譲は1万8,601戸と7.5%増えました。地方は少しずつ消化される一方、首都圏はむしろ増え、方向が分かれました。
- 地域別の負担: 地方では釜山が約8,292戸、忠清南道が約8,213戸と、未分譲の規模が大きいほうに集計されました。
- 取引の縮小: 5月の全国の住宅売買取引は6万6,490件で前月より4.7%減り、地方を中心に需要の弱さが続いています。
🏚️ 「悪性在庫」がなぜ問題か — 竣工後未分譲2万9千戸
最も注視すべき指標は「竣工後未分譲」です。すでに建て終えて入居可能なのに買い手が見つからない在庫で、「悪性在庫」と呼ばれ、建設会社の資金と地域景気に直接の負担を与えます。
5月の竣工後未分譲は2万9,350戸で前月より0.5%減りました。小幅な減少ですが、問題は地域の偏りです。このうち非首都圏が2万4,522戸と全体の83.6%を占めます。地方では分譲価格を下げても、割引しても消化が遅い団地が多いということです。一方、首都圏の竣工後未分譲は4,828戸とむしろ11.3%増え、首都圏の中でも立地によって温度差が広がっています。
🧱 なぜここまで分かれたか — ソウルの急騰と「竣工の崖」が重なった
二極化の背景には、需要の集中と供給の時間差が同居しています。需要はソウル・首都圏の中心地に集まるのに、これから入居する新築マンションは急激に減っており、二つの市場の格差が広がりました。
- ソウル・首都圏への集中: 韓国不動産院の指数ベースで、ソウルのマンション売買価格は直近も週間の上昇幅を広げながら上昇基調を続けています。規制地域への指定にもかかわらず、駅近・大規模団地など人気の団地に買いが集中しています。
- 竣工の崖: 5月の全国の住宅竣工は1万2,913戸で、1年前より51.0%急減しました。首都圏は66.9%、地方は26.3%減りました。新しく入居する物量が減れば、既存の人気地域の希少性が際立ち、価格を押し上げる要因になります。
- 地方の供給過剰の後遺症: 地方は、かつて分譲が集中した物量が竣工時期に達し、需要が追いつかない地域を中心に未分譲が残る構図です。
つまりソウルは「買い手は多いのに新しい物件が乏しい」市場、地方は「建てた物件はあるのに買い手が少ない」市場に分かれた格好です。
🏛️ 政府はどう動くか — 7月末の税制改編と地方特例の延長
政府の対応は「首都圏は締め、地方は下支えする」二つの方向で組まれています。具材栄哲(ク・ユンチョル)副首相兼財政経済部長官は、今月末に不動産の税制改編案を示すと明らかにしました。李在明(イ・ジェミョン)大統領も今月23日に不動産関連の討論会を予告しています。
- 首都圏・多住宅を照準(検討段階): 税制改編は「家は買う(buying)ものではなく住む(living)場所」という実居住中心の原則の下で議論されています。総合不動産税は税率引き上げよりも公正市場価額比率(現行60%)を施行令で段階的に引き上げる方式が、譲渡所得税の長期保有特別控除は「保有期間」から「実居住期間」中心へ再編する案が取り沙汰されています。ただし、まだ確定・施行された内容ではありません。
- 地方の未分譲を下支え: 政府は、非首都圏の竣工後未分譲住宅の取得者に対する譲渡税・総合不動産税の特例の適用期限を、現行の2026年末から2027年末へ1年延長する案を税法改正案に盛り込む見通しです。現行の特例は、1世帯1住宅者が首都圏外の専用85㎡以下・取得価額7億ウォン以下の竣工後未分譲住宅を追加で購入しても、既存住宅を1世帯1住宅と認める制度で、既存住宅の売却時に譲渡価額12億ウォンまで非課税、長期保有特別控除は最大80%などが維持されます。人口減少地域のセカンドホーム特例も併せて延長する方向です。
- 供給の補完: 先に発表した首都圏の非マンション約4万1,000戸の供給計画をもとに、都心の空き地を活用した都市型生活住宅・オフィステルの供給を増やし、短期の供給不安を和らげる構想です。
✍️ 総評 — 一つの国に二つの市場、政策も二手に
いまの不動産市場は「全国平均」という言葉がむなしいほど、地域ごとに分かれています。ソウル・首都圏の中心地は竣工の崖の中で買いの集中により上がり、地方は竣工後未分譲が積み上がって、なかなか温もりが戻りません。
今後注視したい点は三つです。第一に、7月末に発表される税制改編案が、総合不動産税の公正市場価額比率と長期保有特別控除を実際にどう手直しするか。第二に、地方の竣工後未分譲特例の延長が、悪性在庫を実際にどれだけ減らすか。第三に、竣工の崖が2〜3年後の供給につながる時間差の中で、首都圏の需給がどう再編されるか。同じ不動産でも住む地域によって体感が正反対である以上、全国一本の指標よりも地域別の流れを分けて見る視点が求められる局面です。
※ 本稿は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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