🏠 チョンセ物件がなぜ見つからないのか — 需給指数が5年半ぶり高水準、賃貸借2法6年の請求書
チョンセ(保証金型賃貸)を探している方なら、いま肌で感じているとおりです。ソウルのマンション・チョンセ需給指数は6月最終週時点で126.7となり、賃貸借2法の施行直後にチョンセ難が深刻化した2021年1月以来、約5年半ぶりの高さです。物件は減り、探す人は変わらないという状況が固まりつつあります。7月31日で賃貸借2法は施行6年を迎えます。🏠
TL;DR
- 韓国不動産院のソウル・マンション チョンセ需給指数は126.7(6月29日基準)。2021年1月第3週(122.8)以来の高水準です。
- ソウルのマンション・チョンセ物件は2万406件で、半年前(2万3060件)より11.6%減少しました。
- 7月の全国マンション入居物量は1万5646戸(不動産R114集計)で、同月として10年ぶりの少なさです。首都圏は7か月連続で月1万戸を下回りました。
需給指数126.7は何を意味するのか
需要と供給の均衡が、5年半で最も大きく傾いたということです。チョンセ需給指数は、韓国不動産院が仲介業者への調査などをもとに、チョンセの需要と供給の比重を点数化した指標です。基準線の100を超え、200に近づくほど、物件を出す人より探す人が多いことを示します。
イーデイリーの報道によると、6月第5週(29日基準)のソウル・マンション チョンセ需給指数は126.7でした。直前の高値は、賃貸借2法の影響でチョンセ物件が枯渇した2021年1月第3週の122.8です。約5年6か月ぶりにこの水準を超えました。
指数がここまで上がると、借り手は選択肢を比べるのではなく、出てきた物件を押さえる動きになります。条件を吟味する余裕が減れば、売り希望価格がそのまま契約価格になることも増えます。
物件は実際にどれだけ減ったのか
半年でソウルのマンション・チョンセ物件が10件に1件以上消えました。イーデイリーの集計では、ソウルのマンション・チョンセ物件は2万406件で、半年前の2万3060件より2654件(11.6%)減りました。2万件という心理的な節目が目前です。
減り方も一様ではありません。現場では、駅近や学区、新築団地など人気の高い場所ほど物件不足が深刻だと言われています。実需が集まる地域ほど、順番待ちの列が長くなります。
一部のネット上の資料には「1年で35%減」「特定地域で70%激減」といった数字も出回っていますが、公的統計との照合ができなかったため、本稿では引用していません。
賃貸借2法の6年で何が変わったのか
契約更新請求権と賃料上限制は2020年7月31日に施行されました。借り手は最初の2年契約の後、1回に限り2年の更新を求めることができ、更新時の賃料引き上げは5%以内に制限されるのが骨子です。理論上は同じ住まいに最低4年住めることになります。
居住の安定という目的は明確でしたが、副作用の指摘も6年間ついて回りました。更新契約と新規契約でチョンセ金の差が開く「二重価格」の問題、そして既存の借り手が住み続けることで市場に新たに出る物件が減る問題です。同じ団地でも契約時期によってチョンセ価格が何通りにも分かれる状況が続きました。
そのため制度改編の議論も絶えません。まず補完し長期的に廃止を検討すべきだという見方が専門家の間にある一方、借り手の保護装置を揺るがすべきではないという反論も根強くあります。ただし現時点で政府が確定した改編案はありません。ネット上で見かける「3+3年への拡大」といった話は信頼できる根拠が確認できなかったため、政府の発表があるまでは確定した事実として受け止めない方がよいでしょう。
6·27対策はチョンセ市場にどう影響したのか
融資規制は売買を狙ったものですが、チョンセ供給も一緒に減りました。2025年の6·27家計債務対策は、首都圏の住宅担保ローン限度を6億ウォンに制限し、初回購入者のLTVを80%から70%に引き下げ、融資を受けて住宅を買った場合は6か月以内に転入する義務を課しました。所有権移転条件付きのチョンセ資金融資も止まりました。
転入義務がつくと、チョンセ保証金を利用して買う「ギャップ投資」は事実上成り立ちません。ギャップ投資が塞がれば投機需要は減りますが、その住宅がチョンセとして市場に出る可能性も同時に消えます。売買規制でありながら、結果としてチョンセ供給の一角を削ったことになります。
入居物量はなぜ懸念材料なのか
新築の引き渡しが減れば、賃貸供給も一緒に減ります。不動産R114の集計によると、2026年7月の全国マンション入居物量は28団地・1万5646戸で、昨年7月(2万3478戸)より約33%少なく、同月として10年で最も少ない水準です。内訳は首都圏9787戸、地方5859戸です。
首都圏の状況はさらに厳しくなっています。今年の月別入居物量は1月8199戸、2月7737戸、3月9798戸、4月8771戸、5月5434戸、6月7904戸と、7か月連続で1万戸を下回りました。入居が始まればチョンセ物件が一気に出て価格を抑える働きをしますが、いまはその緩衝装置が働いていません。
なお集計機関によって基準が異なり、7月の物量を「増加に転換」と伝えた報道もあります。賃貸を含めるかどうかや団地の数え方の違いとみられるため、本稿では不動産R114基準であることを明記しておきます。
チョンセ価格はいまどの水準か
上げ幅そのものはやや縮みましたが、方向は変わらず上向きです。韓国不動産院の7月第2週(13日基準)の週間マンション価格動向によると、ソウルのマンション・チョンセ価格は0.28%上昇し、前週(0.31%)より上げ幅が縮小しました。首都圏は0.19%、全国は0.11%でした。
地域別では城北区が0.49%で最も高く、江東区0.44%、蘆原区と松坡区がそれぞれ0.41%、道峰区0.40%、中浪区0.35%と続きました。上昇は江北圏と西南圏が牽引しています。韓国不動産院は、住環境の良い駅近や学区を中心に賃借需要が続き、上昇取引が成立していると説明しました。
週間上昇率が1〜2回鈍ったからといって、需給が緩んだとは言いにくい状況です。指数と物件数が同じ方向を指しているためです。
総評 📌
いまのチョンセ難は原因が一つではありません。賃貸借2法がつくった長期居住の構造、6·27対策の転入義務が取り除いたギャップ投資の物量、そして10年で最低水準の入居物量が同じ時期に重なりました。どれか一つを直すだけでは指数は下がりにくいということです。
押さえておきたい点は3つあります。第一に、需給指数が2021年の水準を超えたということは、価格より「見つけられるか」が先に問われる局面だという意味です。第二に、売買が強い地域とチョンセが強い地域が城北・蘆原・道峰などで重なっており、実需の負担が両側から大きくなります。第三に、入居物量がいつ回復するかが中期の変数です。契約時期を決める際は、週間指標一つよりも、その地域の入居予定団地と物件の推移を併せて確認する方が安全です。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
出典
- 多住宅者規制と供給減少…ソウルのチョンセ物件が半年で12%減(イーデイリー、韓国語)
- 韓国不動産院 週間マンション価格動向(韓国語)
- ソウルのマンション価格0.30%上昇を維持、チョンセは0.28%に縮小(NSP通信、韓国語)
- 7月のマンション入居物量が10年ぶり最低(建設エコノミーニュース、韓国語)
- 7月の全国マンション入居1.5万戸、10年内で最低水準(イートゥデイ、韓国語)
- 6·27不動産対策(ウィキペディア、韓国語)
- 6·27家計債務対策以降の住宅市場見通し(KB、韓国語)
- ソウルのチョンセ難長期化…賃貸借2法の改編論が再燃(韓国不動産ニュース、韓国語)
- 賃貸借2法施行4年(韓国経済新聞、韓国語)