📈 韓国5月の経常収支386億ドルで「過去最大」— 半導体が塗り替えた新記録、それでもなぜウォンは弱い?
2026年5月の韓国の経常収支が386億1,000万ドルの黒字となり、過去最大を記録しました。2か月前の3月に打ち立てた記録(379億3,000万ドル)を再び上回り、今年1〜5月の累計黒字はすでに昨年1年分の黒字を追い抜きました。今回も主役は半導体です。ただ、過去最大の黒字を出しているにもかかわらず、ドル・ウォン相場は1,530ウォン前後で弱さを続けるという妙な光景が同時に広がっています。貿易で稼いだドルと、市場から流れ出るドルが互いに逆方向を指している今の局面を、夕方のブリーフィングで整理してみます。📈
要点まとめ(TL;DR)
- 韓国銀行が7月8日に発表した5月の国際収支(速報)で、経常収支は386億1,000万ドルの黒字と過去最大を記録しました。
- 貿易収支が378億6,000万ドルの黒字で過去最大をつけ、第一次所得収支も21億7,000万ドルの黒字に転じました。
- 1〜5月の累計黒字は1,412億8,000万ドルで、2025年の年間黒字(1,230億5,000万ドル)を5か月で上回りました。韓国銀行は今年の年間黒字が2,500億ドルを超えると見込んでいます。
📊 5月の経常収支、何がどれだけ増えたのか
5月の経常収支は386億1,000万ドルの黒字で、過去最大を更新しました。韓国銀行が7月8日に公表した「2026年5月国際収支(速報)」を見ると、直前の最大記録だった3月(379億3,000万ドル)を6億8,000万ドル上回り、わずか2か月で記録を塗り替えました。目を引くのは、貿易収支と第一次所得収支がそろって改善した点です。貿易収支は378億6,000万ドルの黒字でこちらも過去最大となり、4月まで配当支払いで押さえ込まれていた第一次所得収支は21億7,000万ドルの黒字へと方向を変えました。
🔧 なぜまた過去最大なのか — 半導体と配当の季節要因
今回の新記録を引き出した力は、半導体輸出と配当の季節要因の解消が重なった結果です。貿易収支を押し上げたのは依然として半導体です。5月の半導体輸出額は372億9,000万ドルで、前年同月から大きく伸び、貿易収支黒字の支柱の役割を果たしました。加えて、第一次所得収支が黒字に転じた背景には、配当シーズンが過ぎた影響があります。通常は4月前後に外国人株主へ配当金が大量に流出し、配当所得収支が赤字に押し下げられますが、5月に入ってこの季節的な負担が取れると、配当所得収支は11億5,000万ドルの黒字に転換し、第一次所得収支全体も併せて黒字に浮上しました。貿易と第一次所得が同じ月に改善したことで、経常収支全体が過去最大へと跳ね上がった格好です。
📈 累計黒字と年間見通しはどこまで
今年の累計黒字はすでに昨年1年分を上回り、韓国銀行は年間2,500億ドル突破を見込んでいます。1〜5月の経常収支黒字は1,412億8,000万ドルと集計されましたが、これは2025年の1年間で積み上げた黒字1,230億5,000万ドルを、5か月で上回った規模です。半年もたたないうちに昨年の実績を追い抜いた形です。韓国銀行の柳成旭(ユ・ソンウク)金融統計部長は「6月の輸出が半導体を中心に1,000億ドルを超えた」と述べ、6月も相当な水準の黒字が続くとの見通しを示しました。この流れなら、今年の年間経常収支黒字が2,500億ドルを超えるというのが韓国銀行の判断です。
💵 黒字は過去最大なのに、なぜウォンは弱いのか
経常黒字が過去最大級なのにウォンが弱いのは、貿易を通じて入ってくるドルと、資本市場から流れ出るドルの向きが異なるためです。経常収支は輸出・輸入や配当といった「実物・所得」取引で稼いだドルを映し出しますが、この経路ではドルが潤沢に入ってきています。問題は資本・金融収支です。外国人がこれまで抱えていた韓国株を売り、その代金をドルに換えて出ていくことで、証券投資の面ではむしろドルが流出する圧力が強まりました。その結果、7月初めのドル・ウォン相場は1,530ウォン前後の弱い流れを続けました。経常収支の黒字はウォンの基礎体力を支える要因ですが、短期の為替相場は外国人資金の向きにより敏感に動くという点を、今回の局面がよく示しています。
総評
5月の経常収支は「半導体が塗り替えた新記録」という一行に集約されます。貿易収支が過去最大をつけ、配当の季節要因まで取れたことで経常収支黒字は386億1,000万ドルに跳ね上がり、累計黒字はすでに昨年1年分を上回りました。ただ、過去最大の黒字と1,530ウォン台のウォン安が並んで現れる光景は、貿易黒字がそのまま通貨高につながるわけではないという事実を改めて思い出させます。今後の点検ポイントは三つです。半導体輸出が6月以降も黒字を支えるほど強いのか、外国人の証券投資資金が再び流入に転じるのか、そして韓国銀行が見込む年間2,500億ドルの黒字経路が実際に守られるのか。貿易で稼ぐドルと、資本市場を行き交うドルを併せて見ることが、下半期の為替と景気を読む出発点になります。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。