米6月の非農業部門雇用者数は前月比5万7,000人増にとどまり、市場予想(約11万人)を大きく下回りました。これを受け、連邦準備制度(FRB)による「年内利上げ」観測も急速に後退しました。失業率は前月(4.3%)より低い4.2%となりましたが、求職をあきらめる人が増えて労働参加率が61.5%(2021年3月以来の最低)まで下がった結果であり、素直に喜べる数字ではありません。7月2日に公表されたこの雇用統計は、インフレと格闘するウォルシュFRBに新たな悩みを突きつけました。

要点(TL;DR)

  • 6月の非農業部門雇用者数は+5万7,000人(予想約11万人)、4・5月分も合計7万4,000人下方修正
  • 失業率は4.2%に低下したが労働参加率の急落(61.5%)が主因、時間当たり賃金は前年比+3.5%
  • インフレを最優先するウォルシュFRBだが、冷え込む雇用を受け「年内利上げ」の可能性は大きく後退
  • ドルと短期国債利回りがそろって低下、ドルウォンは7月2日に1,537ウォン台へ落ち着き、7月16日の韓国銀行会合が次の注目点

📉 6月雇用はどれほど低調だったか

市場予想の半分程度にとどまる「ショック」でした。米労働省が7月2日に公表した6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は5万7,000人増にとどまりました。ダウ・ジョーンズ集計の市場予想である約11万〜11万5,000人を半分ほど下回る数字です。前2カ月分も相次いで引き下げられ、4月は17万9,000人から14万8,000人へ、5月は17万2,000人から12万9,000人へ下方修正され、2カ月合計で7万4,000人が消えました。直近の雇用の流れが、発表当時よりも実際にはさらに弱かったことを意味します。

失業率は5月(4.3%)より0.1ポイント低い4.2%となりました。ただ中身を見ると手放しでは評価できません。失業率が下がった背景が「仕事を見つけた人が増えたから」ではなく「求職そのものをあきらめた人が増えたから」だからです。労働参加率は0.3ポイント低下して61.5%となり、2021年3月以来の低水準まで下がりました。

🏭 どこで増え、どこで減ったか

雇用の増加はサービス業の一部に集中し、レジャー・宿泊業が全体の数字を押し下げました。業種別では、専門・ビジネスサービスが3万6,000人増と最も大きく寄与し、社会福祉サービスが2万5,000人、医療が2万2,000人増加しました。一方、レジャー・宿泊業は6万1,000人の大幅減となりました。例年より弱い季節的な採用に加え、ワールドカップ開催に伴う人員移動の影響が重なったと分析されています。賃金は時間当たり平均が前月比0.3%、前年比3.5%上昇し、まだ鈍化していません。

🏦 ウォルシュFRBの計算 — 「インフレ優先」と冷える雇用のはざまで

FRBはインフレを最優先に据えていますが、今回の雇用鈍化で年内利上げの可能性は大きく低下しました。5月にジェローム・パウエル氏の後任として就任したケビン・ウォルシュ議長は、就任以来一貫して「物価が高すぎる」と述べ、2%目標への復帰を最優先課題として強調してきました。実際、6月17日に開かれた初の連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が年3.50〜3.75%で全会一致で据え置かれましたが、18人の委員のうち9人が年内の追加利上げを支持し、うち6人は2回の利上げまで想定する「タカ派的」なドットプロットとなりました。

こうした利上げ機運に冷や水を浴びせたのが、今回の6月雇用です。労働市場が明確に冷え込んでいる兆候が確認され、市場では「FRBが年内にあえて追加利上げをする必要はなくなった」との見方が勢いを増しました。ただし、インフレが5年連続で目標を上回っているうえ、最近は中東(イラン)情勢によるエネルギー価格や関税の影響も重なっており、FRBがただちに緩和に転じるのも難しい状況です。

🇰🇷 韓国市場にとっての意味

弱含むドルはウォンに一息つかせますが、外国人の資金の流れは依然として重荷です。米雇用の低調を受けてドルと短期国債利回りがともに低下し、一時1,550ウォンをうかがったドルウォン相場は7月2日に1,537ウォン台へやや落ち着きました。ただ、外国人投資家は韓国のハイテク株の比重を減らして売り越しを続けており、為替や株式の方向を楽観するのは早計です。

国内に目を向けると、6月の消費者物価が3.2%まで上昇し、韓国銀行の計算も複雑になっています。市場では、7月16日の金融通貨委員会で物価をにらんだ対応が出るかどうかに注目が集まっています。米国の「雇用鈍化のなかのインフレ圧力」という構図が、韓国でも似た形で繰り返されているわけです。

総評

6月の米雇用は「数字の錯覚」を示した統計でした。失業率は下がったものの、それは参加率の低下が生んだ錯覚であり、新規雇用は市場の期待の半分にとどまりました。その結果、年内利上げへの懸念はかなり和らぎましたが、賃金の伸びと5年続く高インフレが残っており、FRBが緩和へ舵を切るのも容易ではありません。注目すべき点は3つです。第一に、来週発表される物価指標が今回の雇用鈍化の構図をどう変えるか。第二に、ドルウォン相場が1,530ウォン台で安定するのか、それとも外国人の売り越しに再び押し戻されるのか。第三に、7月16日に韓国銀行が物価と景気のはざまでどのようなシグナルを出すか、です。

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。

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