米国の物価上昇が再び加速しました。5月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比4.1%上昇し、約3年ぶりの高水準を記録。変動の大きい食品・エネルギーを除くコアPCEも3.4%に上昇しました。さらに、これまでハト派とされてきたミネアポリス連邦準備銀行のカシュカリ総裁が「年内1回の利下げ」から「年内1回の利上げ」へ見通しを転換し、市場に残っていた利下げ期待は事実上消えました。

要点(TL;DR)

  • 米国の5月PCE物価は前年比4.1%と、2023年春以来の高水準でした(4月の3.8%から上昇し、3年ぶりに4%台へ再突入)。
  • コアPCEは3.4%と2023年10月以来の高水準で、市場予想(3.3%)を上回りました。中東発の原油高や関税など供給側の要因が物価を押し上げました。
  • カシュカリ総裁が3月の「年内1回の利下げ」から6月「年内1回の利上げ」へ転換。CMEフェドウォッチでは、市場は7月据え置き(約70%)・9月利上げ(約62%)に傾いています。

何が起きたのか

米連邦準備制度(FRB)が最も信頼する物価指標であるPCEが、市場の警戒感を高めました。5月のPCE物価指数は前年同月比4.1%上昇し、2023年春以来の高さでした。4月(3.8%)よりさらに上がり、3年ぶりに再び4%台に乗せたことになります。食品とエネルギーを除くコアPCEも3.4%と、2023年10月以来の高水準で、前月より0.3ポイント高く、市場予想(3.3%)も上回りました。

物価を押し上げた最大の力はエネルギーです。中東地域の対立が激化して原油とガソリン価格が跳ね上がり、ドライバーが負担する燃料費は3年ぶりの高さに達しました。これに関税による輸入品価格の上昇、ホルムズ海峡の不安に伴うサプライチェーンの混乱など「供給発」の要因が重なりました。

FRBはどう動くのか

注目すべき変化は、金融政策当局者の空気です。これまで緩和的とされてきたニール・カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は、アスペン・アイデア・フェスティバルで「3月には年末までに1回の利下げを見込んでいたが、6月には1回の利上げに変えた」と述べました。さらに「インフレが心配で、それは中東情勢だけでなく、経済全般の広範な物価圧力によるものだ」と診断しました。

カシュカリ総裁は物価上昇の性格を『供給側の要因』と規定しました。関税が輸入物価を押し上げ、ホルムズ海峡の不安がエネルギー・原材料価格を刺激する流れだというのです。こうした発言を受けて、短期金利も敏感に反応しました。

市場はどう反応したか

市場の利下げ期待は急速に冷えました。CMEフェドウォッチでは、次回会合(7月)は据え置きの可能性が約70%と優勢ですが、9月には利上げの可能性が約62%に高まりました。年内の利下げはなく、むしろ年末ごろに0.25ポイントの利上げが織り込まれる雰囲気に変わったのです。リスク資産には重荷となりました。ハイテク中心のナスダック指数は5営業日連続で下落し、利益確定と防御的銘柄への資金移動が見られました。

韓国経済にとっての意味は

韓国には為替と輸出のチャネルを通じて影響が及びうります。米国の利下げが先送りされ利上げの可能性が浮上すると、韓米金利差と安全資産選好が相まってドルが強含みやすく、その分ドルウォン相場の上方圧力が強まります。すでにドルウォン相場が高いボックス圏にとどまる状況だけに、高為替の負担が長引く可能性があります。為替と原油が同時に上がれば輸入物価が刺激され、国内物価にも時差を置いて重荷となる可能性があります。

総評

今回の指標と発言のメッセージは明確です。市場がしばらく期待してきた『利下げサイクル』がさらに遠のき、むしろ『追加利上げ』の可能性がテーブルに上がった、ということです。核心は、物価上昇が需要ではなくエネルギーや関税といった供給要因に由来する点で、これは金融政策だけでは扱いにくい領域であり、FRBの悩みも深まらざるを得ません。今後は中東情勢に伴う原油の流れ、7月FOMCでのシグナル、そして来月発表される物価・雇用指標が、金利の時計の方向を左右する重要な変数です。為替と輸入物価に敏感な韓国にとっては、米国の物価・金利の流れをいっそう緻密に注視する必要があります。

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。

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