韓国政府が取得税・保有税・譲渡所得税を一度に手直しする『実居住中心』の不動産税制改編に着手しました。核心は、実際に住みながら保有している人とそうでない人の税負担をはっきり分けることです。譲渡税は単純な保有による控除を縮小し実居住の特典を拡大する方向、保有税は国会の同意なしに政府が調整できる公正市場価額比率の引き上げが優先カードとして取り沙汰されています。具体的な骨子は今月末に輪郭が固まる見通しです。

要点(TL;DR)

  • 政府は取得・保有・譲渡税を一体で捉える『実居住中心』の税制改編を進めます。基準は、住宅を買い・持ち・売る全過程の『総税負担』です。
  • 譲渡税の長期保有特別控除(現在は保有最大40%+居住最大40%=合算80%)で、単純保有分を縮小・廃止し居住特典の比重を高める案が有力です。
  • 保有税は公正市場価額比率(現60%)の引き上げが核心です。施行令の事項のため国会同意なしに政府が上げられ、名目税率に触れなくても課税標準が大きくなり実質的な増税効果が生じます。

何が起きたのか

政府は不動産税制を『実居住中心』に組み直す方向を明確にしました。李在明(イ・ジェミョン)大統領は「実居住でなければ先進国水準の保有負担を負うべきだ」という趣旨で基調を示し、企画財政部は取得・保有・譲渡へと続く住宅保有の全過程を貫く総合改編案を検討しています。これまで別々に扱われてきた取得税・保有税・譲渡税を『総税負担』という一つの枠でまとめ、課税体系を再設計するのが核心です。

すでに一つの変化は始まっています。多住宅者の譲渡税重課に対する一時的な適用除外が5月9日で終わり、5月10日からは調整対象地域の多住宅者に重課税率が再び適用されています。今回の改編は、その延長線上で税制全般を手直しする作業です。

譲渡税はどう変わるのか

まず取り沙汰されるのが譲渡所得税の長期保有特別控除(長特控除)です。現在、1世帯1住宅者は保有期間に応じて最大40%、居住期間に応じて最大40%、合わせて最大80%まで譲渡差益を控除されます。政府はこのうち「単に長く持っていただけ」の保有控除を縮小または廃止し、「実際に住んでいた」居住控除の比重を高める方向を検討しています。

平たく言えば、同じ住宅を同じ期間保有していても、自ら居住したかどうかで譲渡税の負担がより大きく分かれることになります。実居住者には特典を維持・強化し、居住せず保有だけしていた場合には控除を縮小して差益への税を重く課す設計です。

保有税はどう変わるのか

保有税の側で最も強力なカードは、総合不動産税の公正市場価額比率の調整です。公正市場価額比率は、公示価格から控除額を引いた金額に掛けて課税標準を定める比率で、現在の住宅分は60%水準です。この比率を60%から80%などに引き上げれば、名目税率をそのままにしても課税標準そのものが大きくなり、実質的に保有税が上がる効果が生じます。

このカードが注目される理由は『速さ』です。公正市場価額比率は法律ではなく施行令の事項のため、国会の同意なしに政府が調整できます。ここに公示価格の現実化が加われば、保有負担はいっそう大きくなります。ただ一部では、総合不動産税の課税標準をより細かく分けて区分別に差をつける案も併せて検討されていると伝えられます。

いつ、どう決まるのか

政府は税制合理化方策に関する研究用役の中間結果をもとに、今月末に税法改正案の骨子をまとめる計画です。続いて来月の発表が見込まれる税制改編案に、保有税・譲渡税の改編方向が盛り込まれると見られます。公正市場価額比率のように施行令で調整できる項目は比較的早い時点で、法改正が必要な項目は国会論議を経て時差を置いて適用される可能性が高いです。

市場では改編の強度と施行時期をめぐり見方が分かれています。保有税の引き上げが売り物件を増やして価格を抑えるという見方がある一方、市場への影響は短期にとどまるとの分析も出ています。実居住の差が強まるほど、「実際に住む家」中心への需要の組み替えが速まりうるという点も併せて指摘されます。

総評

今回の改編の方向ははっきりしています。「どれだけ長く持ったか」よりも「実際に住む家か」を基準に税負担を再設計する、というものです。取得-保有-譲渡を一つとして捉えるアプローチ、単純保有控除の縮小、公正市場価額比率の引き上げという三つの筋が噛み合えば、多住宅・非居住保有のコストは確かに大きくなります。ただし具体的な引き上げ幅と施行時期、そして国会を通さねばならない項目の処理スピードは、まだ確定していません。住宅を買う・売る計画があるなら、今月末の骨子と来月の税制改編案を確認したうえで、実居住要件や保有・居住期間が自分の状況にどう適用されるかを見極めることをおすすめします。

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。具体的な税額は個人別の要件によって変わるため、税務専門家への相談をおすすめします。

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