AIメモリの中核であるHBM(広帯域メモリ)が、いま「完売」局面に入っています。マイクロンが現地時間6月24日の取引終了直後、日本時間では25日未明に会計年度第3四半期の決算を発表します。同社はすでに、2026年のHBM生産分すべてを価格・数量契約で押さえて販売済みであり、その不足が2027年まで続くと明らかにしています。本稿では、このメモリのスーパーサイクルが実際どこまで進んだのか、そしてSKハイニックスとサムスン電子が走る次世代HBM4競争の構図を合わせて見ていきます。

要点(TL;DR)

  • マイクロンは現地時間6月24日の取引終了後に決算を発表します。自社ガイダンスは売上高約335億ドル(±7.5億)、非GAAPの1株利益約19.15ドル、売上総利益率約81%で、そのまま達成すれば47年の歴史で最高水準です。
  • 2026年のHBM供給はすでに全量契約済みで、供給不足は2027年初めまで続く見通しです。
  • 韓国ではSKハイニックスがHBM市場の首位を守る一方、サムスン電子がHBM4量産で反撃に出ており、次世代主導権を巡る競争が本格化しています。

マイクロンの決算がなぜ「AIメモリのリトマス試験紙」なのか?

市場がマイクロンの決算に注目するのは、AI向けメモリ需要が実際の数字として表れる最初の関門だからです。米国上場の主要メモリ企業のなかで四半期決算をいち早く公表する部類に入るため、後に続く韓国メモリ企業の地合いを先読みする先行指標として読まれます。

同社が先に示した会計年度第3四半期のガイダンスは、売上高約335億ドル(±7.5億ドル)、非GAAPの1株利益約19.15ドル(±0.40ドル)、売上総利益率約81%の水準です。この売上総利益率がそのまま出れば、マイクロン47年の歴史で最も高い収益性になります。ただしあくまで会社の事前見通しであり、市場の一部では売上コンセンサスをこれより高い340億ドル台と見る向きもあります。実際の結果は発表が出てからの確認となるため、本稿は発表前時点のガイダンスと見通しを整理したものであることを明確にしておきます。

「HBM完売」はどこまで事実か?

マイクロンは2026年に生産するHBMをすでに全量売り切った状態です。経営陣は前四半期の決算発表で、2026年のHBM出荷量すべてが価格と数量の確定した供給契約で埋まっており、この逼迫が2027年以降まで続くと説明しました。一部の資料では、2027年初めの供給分まで予約で埋まっていると伝えられています。

需要がどこから来るのかは明確です。AIデータセンターです。前四半期のマイクロンのデータセンター部門の売上高は前年同期比で約150%という大幅な伸びを示し、HBMの売上高は四半期で初めて10億ドルを超えたと伝えられています。生成AIモデルを動かすアクセラレーター1枚ごとにHBMが大量に搭載されるため、GPU需要がそのままメモリ需要につながる構図です。「スーパーサイクル」という言葉が付く理由もここにあります。

次世代HBM4、韓国勢はどこまで来たか?

次世代規格のHBM4は、SKハイニックスとサムスン電子が主導権を巡って正面からぶつかる戦場です。エヌビディアの次世代AIプラットフォーム(ヴェラ・ルービン)などに搭載される次世代メモリで、帯域幅と効率を一段引き上げた規格です。

SKハイニックスは2026年のHBM市場で売上ベースのシェア首位(約50%前後と推定)を守るとみられ、現在はHBM4を少量量産しつつ、エヌビディアの次世代GPU搭載に向けた最終品質検証を進めているとされます。サムスン電子はHBM4量産に踏み切り反撃を狙います。一部報道によれば、サムスンは10ナノ級第6世代DRAMと4ナノプロセスを適用してJEDEC標準(8Gbps)を上回る動作速度を実現し、AMDの次世代AIアクセラレーターにHBM4を主力供給することで合意したと伝えられています。ただし、シェア・売上の見通しや一部の供給契約の内容は市場推定と業界報道に基づくもので、企業の公式確定値とは差がある可能性があります。

結局のところ、米国のマイクロンが決算で「AIメモリ需要は本物だ」を証明する間に、韓国の2社は、より速く効率の良いHBM4をどちらが先に安定供給できるかで次のサイクルの主導権が分かれることになります。

総評 — 何を見るべきか

今局面の核心は、AIメモリ需要が短期の流行ではなく、複数年契約で固定された構造的な流れなのか、という点です。マイクロンがすでに2026年分を完売している点、データセンター売上が急伸した点は、需要の底堅さを示す材料です。一方でメモリは伝統的に供給が増えると価格が急速に冷える景気敏感産業であり、HBM増設が本格化する2027年以降の供給過剰の可能性や、AI投資の減速時の需要調整リスクも合わせて押さえておくべき点です。

今夜のマイクロン決算では、単純な売上・利益の数字よりも、HBM4の数量配分計画と2027年の供給見通しに関する経営陣の発言が、より重要な注目点になりそうです。韓国の投資家であれば、この発言がSKハイニックス・サムスン電子のHBM4競争にどんなシグナルを送るのかも合わせて見ておく価値があります。

※ 本稿は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。決算の数字は発表前のガイダンス・市場見通しであり、実際の結果は公式発表でご確認ください。

出典